妊婦さんのRSウイルスワクチンについて

ヘルスケア

はじめに

こんにちは、ギネのあっちゃんです。

今日は、妊婦さんにぜひ知っておいてほしい「RSウイルスワクチン」のお話です。妊婦さんのRSウイルスワクチンは、国の定期接種になりました。つまり、すべての妊婦さんに受けてほしいワクチンです。

「RSウイルスって何?」「本当に受けた方がいいの?」「どこで受けられるの?」という疑問に、順番にお答えしていきますね。

RSウイルスは「ただの風邪」ではありません

RSウイルスは、ほとんどの子どもが2歳までに一度はかかる、とても身近なウイルスです。大人や大きな子どもでは、鼻水や咳などの軽い風邪で済むことが多いため、つい「風邪の一種」と思われがちです。

でも、生まれて間もない赤ちゃんにとっては話が別です。特に生後6か月未満の赤ちゃんは、細気管支炎や肺炎を起こしやすく、呼吸が苦しくなったり、ミルクが飲めなくなったりします。その結果、比較的高い確率で入院が必要になります。

日本では毎年、2歳未満の子ども約12万〜14万人がRSウイルス感染症と診断され、その約4分の1(約3万人)が入院していると推定されています。特効薬はなく、入院しても酸素投与や点滴などで回復を待つことになります。小さな赤ちゃんが入院するのは、赤ちゃんにとってもご家族にとっても、とてもつらいことです。

ママが接種して、赤ちゃんを守るワクチン

このワクチンは、赤ちゃんではなく妊婦さんが接種するワクチンです(商品名:アブリスボ)。仕組みは次のとおりです。

  1. 妊婦さんがワクチンを接種すると、体の中でRSウイルスへの抗体がつくられます。
  2. その抗体が胎盤を通して、お腹の赤ちゃんに届きます。
  3. 赤ちゃんは抗体を持って生まれてくるので、いちばん重症化しやすい生後数か月の間、RSウイルスから守られます。

これを「母子免疫」といいます。受診が必要になる重い下気道感染症を、生後90日の時点で約8割、生後180日の時点で約7割予防する効果が示されています。

生まれたばかりの赤ちゃんは、自分では十分な免疫をつくれません。ママからの「抗体のプレゼント」が、赤ちゃんのいちばん最初のお守りになるのです。

定期接種=「みんなに受けてほしい」ワクチン

妊婦さんのRSウイルスワクチンは、2026年4月1日から予防接種法に基づく定期接種になりました。定期接種とは、国が「対象の方はみなさん接種しましょう」とすすめているワクチンで、公費で受けられます。

項目内容
対象妊娠中の方
接種時期妊娠28週0日〜36週6日
回数1回(筋肉注射)
費用住民票のある市区町村では無償

接種から抗体が赤ちゃんに十分届くまでには、約2週間かかります。接種してから14日以上たってから出産すると効果が高いので、対象の時期に入ったら早めの接種がおすすめです。

注意!無償で受けられるのは原則「住民票のある市区町村」

多くの妊婦さんは、いつも妊婦健診を受けている産婦人科で接種すると思います。ここで気をつけてほしいのが、無償で接種できるのは住民票のある市区町村の医療機関だけという点です。

たとえば、次のような場合は注意が必要です。

  • 住んでいる市区町村とは別の町の産婦人科で妊婦健診を受けている
  • 里帰り出産のため、実家の近くの病院に通っている
  • 引っ越しを予定している

こうした場合も、あきらめないでください。住民票のある市区町村の医療機関で、ワクチンだけを接種することができます。妊婦健診を受けていない病院でも大丈夫です。

また、里帰り先など住民票のある市区町村以外で接種する場合も、事前に申請しておけば、接種後に費用が払い戻される(償還払い)市区町村があります。たとえば東京都文京区では、接種前に「予防接種実施依頼書」の交付を申請し、接種後1年以内に払い戻しを申請します。申請の方法は市区町村ごとに違うので、必ず接種の前に確認してください。

接種できる医療機関や必要なもの(母子手帳、予診票など)は、市区町村によって違います。お住まいの市区町村のホームページや窓口で、早めに確認しておきましょう。わからないことは、妊婦健診のときに気軽に聞いてくださいね。

おわりに

RSウイルスは「風邪のウイルス」と思われがちですが、赤ちゃんにとっては入院につながりやすい決してあなどれない感染症です。せっかく定期接種で無償で受けられるようになったので、ぜひこの機会を活かしてください。

  • 妊娠28週に入ったら、接種の準備を始めましょう
  • 無償になるのは原則、住民票のある市区町村での接種です(里帰り先などでも、事前申請で払い戻しが受けられる場合があります)
  • 妊婦健診と別の病院でも、ワクチンだけの接種ができます

ママから赤ちゃんへの、いちばん最初のプレゼントとして。みなさんの接種を心から応援しています。

ギネのあっちゃん

参考資料

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この記事を書いた医師
戸澤晃子(産婦人科医)

産婦人科医・医学博士。もぐさ園三沢台診療所婦人科勤務、聖マリアンナ医科大学産婦人科学客員教授。大学病院で20年以上、婦人科がんの手術・化学療法を中心に診療してきました。

【資格】
・日本産科婦人科学会専門医・指導医
・日本婦人科腫瘍学会専門医
・日本臨床細胞学会専門医
・がん治療認定医
・女性ヘルスケア専門医

【専門分野】
婦人科検診・更年期障害・ホルモン補充療法(HRT)・子宮内膜症・骨粗鬆症・GSM・プレコンセプションケア

女性の健康を守るために、正確でわかりやすい情報をお届けします。

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