はじめに
こんにちは、ギネのあっちゃんです。
今日は「HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)」の最新情報をまとめます。2026年4月から、公費で受けられるHPVワクチンが9価ワクチン(シルガード9)に一本化されました。また、多くの方が利用したキャッチアップ接種は、2026年3月末ですべて終了しています。
「うちの子はいつ受ければいいの?」「大人になってからでも意味はあるの?」「副反応が心配…」という疑問に、産婦人科医の立場から順番にお答えしますね。
子宮頸がんとHPVの関係
子宮頸がんは、日本で毎年約1万1,000人が診断され、約3,000人が亡くなっている病気です。特に25〜39歳の女性では、がんによる死亡原因の第2位と、若い世代に多いのが特徴です。
子宮頸がんのほとんどは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因です。HPVは性交渉で感染するごくありふれたウイルスで、多くは自然に排除されますが、一部の人で感染が続くと、数年〜十数年かけて前がん病変、そして子宮頸がんへと進むことがあります。
大学病院で働いていたころ、20代・30代で子宮頸がんが見つかり、子宮を失ったり、妊娠をあきらめざるを得なかった患者さんを何人も見てきました。子宮頸がんは「予防できるがん」です。だからこそ、ワクチンと検診の両方を知っておいてほしいと思います。
HPVワクチンの効果
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVへの感染を防ぐワクチンです。現在、定期接種で使われている9価ワクチン(シルガード9)は、9種類のHPVの感染を防ぎ、子宮頸がんの原因の約80〜90%を防ぐとされています。
ワクチンの効果がいちばん高いのは、HPVに感染する前、つまり性交渉を経験する前に接種した場合です。そのため、定期接種は小学6年生〜高校1年生相当の年齢に設定されています。
公費(無料)で受けられるのは?
HPVワクチンは予防接種法にもとづく定期接種です。対象の年齢であれば、住民票のある市区町村で公費(原則無料)で受けられます。
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 小学6年生〜高校1年生相当の女子 |
| 標準的な接種時期 | 中学1年生相当 |
| ワクチン | 9価ワクチン(シルガード9)※2026年4月から |
| 費用 | 公費(原則自己負担なし) |
高校1年生相当の年度が終わると公費の対象から外れてしまいます。とくに15歳を過ぎると接種回数が3回に増え、完了まで約6か月かかるので、高校1年生の方は早めの接種がおすすめです。
なお、すでに2価(サーバリックス)や4価(ガーダシル)で接種を始めている方は、残りの回数をシルガード9で受ける方法もあります。かかりつけの医師に相談してください。
住民票のある市区町村を離れて暮らしている場合
定期接種を無料で受けられるのは、原則として住民票のある市区町村で接種した場合です。でも、寮生活や進学などで実家を離れて暮らしていて、住民票のある市区町村まで戻って接種するのが難しい方もいますよね。
そんなときは、あきらめないでください。多くの市区町村では、事前に申請すれば、住んでいる地域の近くの医療機関で接種し、あとから費用を払い戻してもらえる(償還払い)しくみがあります。
- 接種する前に、住民票のある市区町村の予防接種担当窓口やホームページで、償還払いの対象になるか、申請の方法を確認する
- 必要な書類(「予防接種実施依頼書」など)の交付を受けてから、近くの医療機関で接種する
- 接種後、領収書などを添えて払い戻しを申請する
申請の手順や払い戻される金額の上限は、市区町村によって違います。接種してから申請しても対象にならない場合があるので、必ず事前に確認してくださいね。
接種回数とスケジュール
シルガード9は、1回目を受ける年齢によって接種回数が変わります。
15歳になるまでに1回目を受ける場合:合計2回
- 1回目から6か月後に2回目(標準)
- 1回目と2回目は少なくとも5か月以上あける必要があります(5か月未満の場合は3回目が必要になります)
15歳になってから1回目を受ける場合:合計3回
- 1回目から2か月後に2回目、6か月後に3回目(標準)
間隔があいてしまっても、最初からやり直す必要はありません。気づいた時点で続きを受けましょう。
キャッチアップ接種は終了しました
積極的な接種のおすすめが差し控えられていた時期(2013〜2021年)に接種の機会を逃した方のための「キャッチアップ接種」は、2025年3月末で終了しました。さらに、期間中に1回以上接種した方が残りを公費で受けられる経過措置も、2026年3月31日で終了しています。
そのため、現在は定期接種の対象年齢を過ぎた方は自費(任意接種)での接種になります。費用は医療機関によって異なりますが、シルガード9は1回あたり3万円前後が目安です。
当院(もぐさ園三沢台診療所 婦人科)でも、公費で接種できなかった方の自費でのHPVワクチン接種を行っています。ご予約は、お電話(042-592-0466)のほか、インターネットからもできます。ネット予約のご案内はクリニックのホームページ(https://www.misawadai-clinic.com/)をご覧ください。費用などもお気軽にお問い合わせくださいね。
大人になってからの接種にも意味はある?
「性交渉の経験があると、もう意味がないんですよね?」とよく聞かれます。確かに、感染前に接種するのがいちばん効果的です。でも、子宮頸がんの原因になるHPVにはいくつもの型があり、すべての型に同時に感染していることはほとんどありません。まだ感染していない型の感染は防ぐことができるので、大人になってからの接種にもメリットはあります。
接種するかどうか迷っている方は、年齢やこれまでの検診の結果なども含めて、婦人科で気軽に相談してください。
男性も接種できます
HPVは、肛門がんや中咽頭がん、尖圭コンジローマなど、男性の病気の原因にもなります。また、男性が接種することで、パートナーへの感染を減らすことにもつながります。
男性のHPVワクチンは、現在は任意接種(自費)ですが、東京23区の多くなど、費用を助成する自治体が増えています。国でも男性の定期接種化が検討されているので、お住まいの市区町村の情報を確認してみてください。
副反応について
HPVワクチンの主な副反応は、注射した部分の痛み・腫れ(半数以上の方に起こりますが、多くは数日でおさまります)や発熱です。
また、注射の痛みや緊張から、接種直後に気分が悪くなったり、失神したりすることがあります。接種後30分ほどは、座って様子をみてから帰宅しましょう。
接種後に、広い範囲の痛みや手足の動かしにくさなど「多様な症状」が報告されたことがありますが、ワクチンとの因果関係は証明されていません。接種歴のない人にも同じような症状がみられることがわかっています。万一、気になる症状が出たときは、接種した医療機関に相談してください。1回目や2回目のあとに症状が出た場合は、それ以降の接種を中止することもできます。
ワクチンを打っても、検診は必要です
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因をすべて防げるわけではありません。ワクチンを接種した方も、20歳になったら子宮頸がん検診を受けましょう。
- 子宮頸がん検診(細胞診):20歳以上、2年に1回
- 自治体によっては、30歳以上の方を対象に、5年に1回の「HPV検査単独法」による検診を行っているところもあります
ワクチンで予防し、検診で早期発見する。この2つで、子宮頸がんはほとんど防ぐことができます。
おわりに
- 公費で受けられるのは小学6年生〜高校1年生相当の女子(標準は中学1年生)
- 2026年4月から定期接種のワクチンはシルガード9のみ
- 15歳までに始めれば2回、15歳からは3回
- 住民票のある市区町村を離れて暮らしている方は、事前申請で近くの医療機関で接種し、費用の払い戻し(償還払い)を受けられる場合があります
- キャッチアップ接種と経過措置は終了。対象外の方も自費で接種できます(当院でも接種でき、ネット予約も可能です)
- 男性も接種でき、費用を助成する自治体が増えています
- ワクチンを打っても、20歳からは子宮頸がん検診を
お子さんの接種、ご自身の接種について迷ったら、いつでも婦人科に相談してくださいね。ワクチンと検診で、子宮頸がんから大切な体を守りましょう。
ギネのあっちゃん

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