更年期から守る!心臓と血管のための食事術〜TJD×地中海食のいいとこどり〜

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「40代後半から急にコレステロール値が上がった」「健診でLDLが引っかかるようになった」——そんな声をよく聞きます。これは偶然ではありません。女性は更年期以降、エストロゲン(女性ホルモン)が急激に低下することで、血液中のLDL(悪玉)コレステロールが上昇し、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞などの心血管疾患リスクが高まります。

この記事では、日本動脈硬化学会が推奨する「TJD(The Japan Diet)」と、世界的に注目される「地中海食」の両方のいいところを組み合わせた、日本人女性にぴったりの食事法をご紹介します。

更年期後に心臓病リスクが高まる理由

エストロゲンには血管を守る多彩な働きがあります。血管を柔らかく保ち、LDLコレステロールの酸化を防ぎ、善玉(HDL)コレステロールを増やす——これらすべての保護作用が、閉経後は失われてしまいます。

  • LDLコレステロール(悪玉)が増加
  • 中性脂肪が上昇しやすくなる
  • HDLコレステロール(善玉)が低下
  • 血管の炎症が起こりやすくなる

これらが重なって動脈硬化が進み、脳梗塞・心筋梗塞のリスクが男性並みに上昇します。閉経後10年で心血管疾患のリスクは2〜3倍になるとも言われており、食事による予防がとても大切です。

TJD(The Japan Diet)とは?

TJDは、日本動脈硬化学会が「動脈硬化予防に最適な日本の食事」として提唱したものです。ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食」をベースに、さらに心血管疾患予防の観点から強化した食事スタイルです。

TJDの5つのポイント

  1. 主食は未精製穀物(玄米・麦ご飯・全粒粉など)を選ぶ
  2. 大豆・大豆製品(豆腐・納豆・味噌・豆乳)を積極的に摂る
  3. 魚(特に青魚)を週に複数回食べる
  4. 野菜・海藻・きのこをたっぷり食べる
  5. 飽和脂肪酸(肉の脂・バター・生クリームなど)を減らす

基本の食事構成は「主食+主菜(タンパク質)+副菜2品+汁物」。この組み合わせが栄養バランスを整え、カロリーのとりすぎを防ぎます。特にLDLコレステロールが高い方は、卵黄・脂身の多い肉・加工肉・菓子類・甘い飲み物の制限も推奨されています。

世界が注目する「地中海食」とは?

地中海食は、イタリア・ギリシャ・スペインなどの地中海沿岸諸国の伝統的な食事スタイルです。50年以上にわたる研究で、心臓病・脳卒中・糖尿病・がん・認知症のリスク低下が確認されており、世界的なベストダイエットとして高く評価されています。

地中海食の主な特徴

  • オリーブオイルを主な脂質源として積極的に使う
  • 野菜・果物・豆類・全粒穀物を毎日食べる
  • 魚介類を週2回以上食べる
  • 肉は少量で付け合わせ程度に抑える
  • ナッツ類・発酵乳製品(ヨーグルト)も活用する
  • デザートは新鮮な果物で

エクストラバージンオリーブオイルの認知症予防効果

特に注目されているのがエクストラバージンオリーブオイル(EVOO)の効果です。テンプル大学(米国)の研究では、EVOOを摂取したマウスで脳内の有害なタウタンパク質の蓄積が約60%減少し、前頭側頭型認知症やアルツハイマー型認知症を予防する可能性が示されました。シナプス機能の向上にも関与しているとされています。

地中海食と長寿の関係

4,600人以上の看護師を対象にした研究では、地中海食に近い食事をしている人ほどテロメア(染色体末端・老化の指標)が長いことが明らかになりました。テロメアが長いほど加齢関連疾患のリスクが低く、長寿につながると考えられています。心血管疾患・がん・パーキンソン病・アルツハイマー病のリスク低下と死亡率の低下も確認されています。

TJD×地中海食:日本人女性へのおすすめの組み合わせ

TJDと地中海食は、実はとても相性が良いのです。どちらも「魚・野菜・豆類・良質な油脂」が中心で、飽和脂肪を減らすという方向性が一致しています。

TJDの強み:海藻・きのこ・大豆製品・だし文化(旨みによる減塩)
地中海食の強み:オリーブオイル・ナッツ・ハーブ・発酵乳製品

この2つを組み合わせた「日本人女性版ハイブリッド食」を実践してみましょう。

✅ 毎日食べたいもの

  • 主食:玄米・麦ご飯・全粒粉パン(精製度の低い穀物)
  • 野菜:季節の野菜をたっぷり(サラダ+温野菜)
  • 大豆製品:豆腐・納豆・味噌・豆乳
  • 海藻・きのこ:わかめ・ひじき・しいたけなど
  • 調理油:オリーブオイル(炒め物・サラダに積極活用)
  • 汁物:だしベースの味噌汁(塩分控えめに)

✅ 週に2〜3回食べたいもの

  • 青魚:さば・いわし・さんまなど(EPA・DHA豊富)
  • 魚介類全般:鮭・あじ・えびなど
  • ナッツ類:くるみ・アーモンドなど(少量でOK)
  • 発酵食品:ヨーグルト・チーズ(少量)

❌ 控えたいもの

  • 脂身の多い肉・加工肉(ベーコン・ソーセージ・ハムなど)
  • バター・生クリーム・ラードなどの動物性油脂
  • 菓子類・甘い飲み物・ジュース
  • 過剰な食塩(醤油・味噌のとりすぎに注意)

減塩もセットで!だしを上手に活用しよう

心血管リスクには「高血圧」も大きく関与します。TJDでは、だしを上手に使って塩分を減らすことを推奨しています。

  • 昆布・かつお節・煮干しで丁寧に出汁をとる
  • だしの旨みで味を補えば、塩・醤油が少量でも満足感が得られる
  • 酢・レモン・ゆず・ハーブ・スパイスでアクセントをつける
  • 市販食品は塩分表示を確認する習慣を

まとめ:まず3つから始めてみよう

更年期以降の女性にとって、食事は最も手軽で効果的な「血管の守り方」のひとつです。難しく考えず、まずは以下の3つから始めてみてください。

  1. ご飯を玄米または麦ご飯に変える
  2. 炒め物の油をオリーブオイルに変える
  3. 週2回、夕食のメインをにする

これだけでもTJD×地中海食のエッセンスが取り入れられます。「食」を味方につけて、更年期後も元気に、長く、自分らしく生きていきましょう!


参考資料

  1. 日本動脈硬化学会「動脈硬化を知る×動脈硬化を予防する食事 ダイジェスト版(TJD)」
  2. Oldways Preservation Trust. “Mediterranean Diet.” https://oldwayspt.org/explore-heritage-diets/mediterranean-diet
  3. Temple University Lewis Katz School of Medicine. “New Study from Temple Shows Extra-Virgin Olive Oil Staves Off Multiple Forms of Dementia in Mice.” November 2019. https://medicine.temple.edu/news/2019/11/…
  4. HealthDay News. “Could a Mediterranean Diet Extend Your Life?” https://www.healthday.com/…
  5. 公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット:地中海食の特徴」https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/chichukaishoku-tokucho.html
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この記事を書いた医師
戸澤晃子(産婦人科医)

産婦人科専門医・聖マリアンナ医科大学客員教授。

【専門分野】
・婦人科検診(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)
・更年期障害・ホルモン補充療法(HRT)
・子宮内膜症・子宮筋腫
・骨粗鬆症・GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)
・プレコンセプションケア

女性の健康を守るために、正確でわかりやすい情報をお届けします。

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