おしものかゆみ 無闇に市販薬は使わないで!

ヘルスケア

こんにちは!ギネのあっちゃんです!

ここ最近、「おしもがかゆい」という症状で受診される方がとても増えています。夏は汗をかいて蒸れやすく、かゆみが起こりやすい季節です。ただ、かゆみの原因はひとつではありません。原因によって治療がまったく違うので、自己判断で市販薬を使う前に、まずは原因を確かめることが大切です。

夏に「おしものかゆみ」が増える理由

外陰部は、もともと皮膚がとても薄くデリケートな場所です。そこに夏特有の条件が重なります。

  • 汗をかいて下着の中が高温多湿になる
  • ナプキンやおりものシートを長時間つけている
  • 濡れた水着のまま過ごす
  • 汗をかくたびに洗いすぎてしまう

蒸れると皮膚のバリア機能が落ち、かゆみや炎症が起こりやすくなります。そして「かゆいから洗う」という行動が、さらに乾燥と刺激を招いてしまうこともあります。

かゆみの原因はひとつではありません

婦人科で診察すると、原因は本当にさまざまです。代表的なものをご紹介します。

カンジダ腟炎(真菌=カビの感染)

白いヨーグルト状・カッテージチーズ状のおりものと、強いかゆみが特徴です。疲れや抗生剤の使用、蒸れなどがきっかけで発症します。抗真菌薬で治療します。

細菌による腟炎・皮膚の炎症

おりものの量やにおいの変化を伴うことがあります。カンジダとは治療薬がまったく違うため、見分けが必要です。

かぶれ(接触皮膚炎)

ナプキン、おりものシート、下着の素材、石けん、ウェットティッシュなどが刺激になって起こります。実はとても多い原因です。原因を取り除くことが治療になります。

GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)

更年期以降の方では、女性ホルモンの低下により粘膜が薄く乾燥し、かゆみやヒリヒリ感が出ます。感染ではないので、抗真菌薬を塗っても治りません。

そのほかの原因

  • 性感染症(トリコモナス、ヘルペスなど)
  • 皮膚の病気(硬化性苔癬、湿疹など)
  • 糖尿病などの全身の病気が背景にあることも
  • まれに、外陰部の腫瘍が隠れていることもあります

市販薬を自己判断で使うと悪化することがあります

「とりあえず薬局で買って塗ってみた」という方は多いのですが、かえって悪化させてから受診される方も少なくありません。理由をご説明します。

ステロイドがカンジダを悪化させることがある

市販のかゆみ止めにはステロイドが入っているものがあります。ステロイドは炎症を抑える一方で、カビ(真菌)の増殖を助けてしまいます。カンジダにステロイドを塗ると、一時的にかゆみが軽くなっても、その後に悪化することがあります。

市販の腟カンジダ薬は「以前に診断された方」だけが使えます

薬局で買える腟カンジダ用の薬は、過去に医師からカンジダと診断されたことがあり、今回も同じ症状の方のみが使えるお薬です。初めてかゆみが出た方は対象外と定められています。自己判断で使うと、別の病気を見逃すことになります。

かゆみ止めそのものが、かぶれの原因になることも

市販のかゆみ止めには、局所麻酔成分・抗ヒスタミン成分・殺菌成分などが配合されています。デリケートな外陰部では、これらの成分自体が刺激になり、新たなかぶれを起こすことがあります。

本当の病気の発見が遅れる

市販薬でごまかしているうちに、硬化性苔癬のような治療が必要な皮膚の病気や、まれですが外陰部の腫瘍の発見が遅れてしまうことがあります。長引くかゆみは、必ず一度診てもらってください。

受診前にしていただきたいこと

  • 受診の直前に薬を塗らない:おりものや皮膚の状態が変わり、診断がつきにくくなります
  • 使った市販薬を持ってくる:写真でも大丈夫です。何を使ったかが分かると診断の助けになります
  • 洗いすぎない:ぬるま湯でやさしく流す程度で十分です。ボディソープでゴシゴシ洗ったり、ビデを使いすぎたりすると悪化します
  • 生理中でも相談してください:症状によっては生理中でも診察できます

こんなときは婦人科へ

次のような場合は、我慢せず受診をおすすめします。

  • 市販薬を数日使っても良くならない
  • 市販薬を使ったら、かえってひどくなった
  • かゆみを繰り返している
  • おりものの量・色・においが変わった
  • 皮膚が白っぽくなる、硬くなる、しこりや傷がある
  • 更年期以降で、乾燥やヒリヒリ感を伴う

診察では、おりものの検査などで原因を確かめたうえで、その原因に合ったお薬を選びます。原因さえ分かれば、多くの場合しっかり良くなる症状です。

まとめ

  • 夏のおしものかゆみは、蒸れ・かぶれ・感染など原因がさまざま
  • 原因によって使う薬がまったく違うため、自己判断は危険
  • ステロイドはカンジダを悪化させることがある
  • 市販の腟カンジダ薬は、以前に診断された方だけが使えるお薬
  • 受診前は薬を塗らず、使った薬を持参すると診断がスムーズ

「こんなことで受診していいのかな」とためらう方も多いのですが、かゆみは我慢しなくていい症状です。つらいときは、どうぞお気軽にご相談くださいね💕

※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を目的としたものではありません。症状が気になる方は必ず医療機関を受診してください。

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この記事を書いた医師
戸澤晃子(産婦人科医)

産婦人科専門医・聖マリアンナ医科大学客員教授。

【専門分野】
・婦人科検診(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)
・更年期障害・ホルモン補充療法(HRT)
・子宮内膜症・子宮筋腫
・骨粗鬆症・GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)
・プレコンセプションケア

女性の健康を守るために、正確でわかりやすい情報をお届けします。

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